有限会社ひらつね

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資源ライブラリー No.3
2015.11.03

銅の話

第3回目となる資源ライブラリーではいよいよ銅の登場です。金属といえば光沢のある白っぽいものをまず連想することでしょう。白色以外の金属は、なんと金と銅だけです。銅といえば赤っぽい色ですが、錆びると緑に変化するという、考えてみればなんとも不思議な金属です。

銅は、金や銀に比べると見劣りする感じがしますが、鉄やアルミに比べればその希少性は別格です。また人類史においては鉄よりも早く使われた歴史をもち、今なお人類にとって欠かせない金属です。そんな銅について、鉄くず屋目線で掘り下げてみましょう。

銅の特性とその歴史

「金と同じ」と書く銅。オリンピックのメダルではありませんが、身近な金属の中では金や銀に次いで貴重な金属と言えます。

地球上での埋蔵量は約7億トンとも推定されており、鉄やアルミニウムと同じベースメタル(基本的な金属)の一種です。

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しかし、鉄の埋蔵量が2千億トン超と言われることに比べればその貴重度ははるかに高く、素材としての銅の価格も鉄の約10倍の価値があります。

銅は下図に示す特性により、身の回りのさまざまな分野に使われています。銅や銅合金の製品を伸銅品 と呼びますが、わが国では、約 130 万トン(2011年)の伸銅品が消費されています。そのうち約 50%が電線向けに消費されており、電力用や通信用、巻線用(コイル等)に用いられます。

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そんな銅ですが、人間との付き合いは鉄以上に古いと言われています。石器時代に次いで、天然の銅を鍛造成形して武器等に用いたとされる銅器時代があったというのが定説です。

その後、青銅(銅+錫スズ)にして銅を硬化することに成功し、青銅器時代が始まります。当時、キプロス島で銅が多く産出されたことが、「copper」の語源にもなったと言われています。

わが国では、698年に銅鉱石を初めて産出したとされ、708(和銅元)年には秩父の大規模な自然銅鉱を用いて、貨幣「和同開珎」が鋳造されました。749年には全国から500トンもの銅を徴用して大仏を建立する等、銅はわが国にすっかり根付いていたようです。

   
古代史における人類と銅の主な関わり
紀元前9500年頃 自然銅を拾ってきて石槌で叩いて加工していた。
紀元前5000年頃 【銅器時代】古代エジプトでは銅を日常生活の器具や装飾品、武器などに使用していた。
紀元前4300年頃 鉱石から銅の精錬が行なわれる。
紀元前3700年頃 【青銅器時代】メソポタミア地域で、銅に錫(すず)を入れた青銅の棒がつくられるようになる。銅の硬化に成功。*銅の利用で先行していたエジプトで青銅の普及が遅れたのは、錫が身近になかったからとされる。
紀元前3000年頃 キプロス島が銅生産の中心となる。
紀元前2700年頃 エジプトのアプシル神殿で、銅製の給水管が利用された。
紀元前1500年頃 【鉄器時代】高度な製鉄技術を持つヒッタイト王国がメソポタミアを征服。
紀元前1500年頃 青銅が中国にまで到達。
紀元前300年頃 (日本)青銅器が使われ始める。
西暦紀元前後 ローマ人が銅鉱および亜鉛鉱の混合物を製錬して黄銅を作り、貨幣に用いた。
698年(文武2年) (日本)国内で銅鉱石を初めて産出。因幡国(鳥取県)から銅鉱を朝廷に献上。
708年(和銅元年) (日本)武蔵国秩父郡から献上された銅を用いて貨幣(和同開珎)が作られる。年号も「和銅」と改められた。
749年(天平21年) (日本)国家和平の象徴として東大寺の大仏が建立され、銅の精錬・鋳造の加工技術は著しい進歩をとげる。*全国から銅製の武器も徴用することで、各地の統治に役立てた効果もあったとされる。
1700年頃 (日本)生産高が世界一の規模(約6,000トン)を誇る。
参考文献:『トコトンやさしい非鉄金属の本』(日刊工業新聞社)、日本伸銅協会HP

銅ができるまで

銅は鉱石として産出されます。銅色の塊(自然銅)が見つかることはまれで、通常は鉱石の中に銅は0.2〜1%しか含まれません。現在の日本では銅鉱石の採掘は行われておらず、全量を輸入に頼っています。<図表3>

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銅鉱石を採掘している国はチリ、中国、ペルー、アメリカ、オーストラリアがトップであり、この5カ国の生産量だけで世界全体の57%を占めています。<図表4>

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輸入された鉱石は自溶炉、転炉、製錬炉で酸化反応を用いて製錬された後、電気分解を行うことで銅成分が99%以上に高められた地金(=電気銅)が完成します。

電気分解の工程で副産物として金や銀などの貴金属、パラジウムなどのレアメタルが採取され、酸化反応の段階では副産物として硫黄が発生します。足尾鉱毒事件で森林を荒廃させた主な原因のひとつが、気体として放出された硫黄(亜硫酸ガス)でした。

現在ではガスが大気中に出る前に回収され、硫酸などの製品として活用されています。

銅の生産と消費

銅地金の生産国は中国、チリ、日本、アメリカ、ロシアが有力です。中国、チリ、日本の3カ国で世界供給量の51%を、上位10カ国で全体の74%を占めています。

また供給量そのものが年々増加しており、2003年から2013年の10年間で総供給量が38%も増加しています。

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では地金を消費する国はどうでしょう。2013年は、アジアのみで世界全体の67%を消費しています。内訳は中国が46%、日本が4%、韓国が3%です。中国の消費量の多さ、また需要の伸びが目立ちます。経済危機がささやかれる中国経済、銅地金の消費量がどこまで落ち込むのか危ぶまれるところです。

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投機の影響

主な非鉄金属の売買価格は、「ロンドン金属取引所」(LME:London Metal Exchange)での市場価格を基準に決まります。とりわけ銅は、1883年にLMEに上場した最も歴史が古い取扱金属です。

「銅は景気を知っている」という言葉のように、銅はインフラ全般や多様な工業製品に用いられており、経済との密接な関係を持ちます。近年では投機資金が流入し、価格の乱高下が目立ちます。

合金の銅

先に見た銅の特徴は反面、さびやすい、柔らかい、粘り気があるとも言え、加工や使用の際の欠点にもなります。そこで、銅にさまざまな金属を添加して銅合金にすることで、銅の欠点を補いつつさらに優れた性質を持たせることが可能になりました。

図表9に銅合金を用いた代表的な製品をあげます。身の回りの幅広いところで活躍していることが分かります。

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Column

銅や銅合金は、古来より貨幣の材料として利用されてきました。例えば、現在の日本の貨幣は、1円硬貨(アルミニウム製)以外は、全て銅合金でできています。一説には、世界の通貨の 75%が銅合金の硬貨とも言われています。
 2002 年にEUの 12 か国が通貨をユーロに切り替えた際、旧通貨となったおよそ 260,000 トンもの硬貨が流通停止となりました。それらの硬貨に含まれる銅は約 147,496 トンにものぼり、それらはリサイクルされ、新しい硬貨からさまざまな工業製品まで広い範囲で再利用されたそうです。

リサイクルの流れ

銅は身近な金属の鉄やアルミニウムよりも存在する量が少ないので実は希少なものなのです。

その価値の高さゆえに、鉄くず屋で積極的に買い取りが行われています。銅スクラップの買い取り価格は鉄に比べて数十倍の高さ! それゆえリサイクル率が高いように思えますが実際のところはどうでしょうか。

2013年の銅のリサイクル率は、なんと27%ほどでした。銅よりも価値の低い鉄では40%以上、アルミニウムが50%以上のリサイクル率であることを考えると、価値が高いからといって再資源化が進むとも限らないようです。

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スクラップとしての銅は2種類に分けられます。ひとつは、銅製品を作る工場などから発生する加工スクラップです。銅の純度が高く、不純物が極めて少ないのが特徴です。

もうひとつが銅を利用した製品がその役目を終えた際に発生する老廃スクラップです。老廃スクラップは使われている銅の質や量にばらつきがあります。例えば、電線はそのほとんどが純度の高い銅で出来ていますが、約10kgのパソコンに含まれる銅は1台につき300g程と言われています。

銅を含む製品の回収率の推計があり、それによると発送電等に使われる電線の回収率はほぼ100%です。純度が高く、リサイクルしやすい形状をしているためと思われます。

一方で低い回収率に留まるのが私たちの身近なところにある家電機器や日用品でした。銅のリサイクル率向上の鍵を握るのは私たち個人なのかもしれません。

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<参考文献>
  • 西山孝, 前田正史(2011)『ベースメタル枯渇: ものづくり工業国家の金属資源問題』日本経済新聞出版社.
  • 経済産業省経済産業政策局調査統計部(2010)「鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計年報」

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